難しいことは分からんけど絵が描きたい

独身社会人の男が画家になるまでの過程や思考を綴ります。

居場所について考えた 2022/4/22

少し前、phaさんの著書「持たない幸福論」を読んだ。

持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない (幻冬舎文庫)

「日本一有名なニート」というナンセンスな肩書と「ギークハウス」については以前から知っていたけど、本はおろかwikiすら見たことが無かったためどういった人物なのか全容を知ることはなかった。

このところ仕事で辛いことが続いて、自分の好きなことで少し稼いで隠遁者のように生活したいなんて思って、ネットサーフィンをしていたらphaさんの記事を見つけた。

彼の考え方に惹かれて最も売れているであろう著書をkindleで購入して読み始めたら、寝不足になった。

今まで何となく違和感を感じていた部分を、嫌みのない平易な文章で的確に抉る文章の凄みに引き込まれてしまって、習慣にしているデッサンやら資格の勉強やらをほっぽりだした。

学生の頃にゲームや漫画にはまって夜更かししてしまうような、中毒的な読書体験を得られたのだ。

 

昔から自分のことをダメ人間だと卑下してきた僕にとって、世間の価値観にとらわれないで自分の好きなことを追求していきてもいいという言葉は、甘くて魅惑的で、何だか今まで悩んでいた自分のことを可哀そうに思えるくらいの思考の転回を起こしてくれた。

ダメ、ダメ、ダメ、ダメ人間

ダメ!人間 人間

 

——筋肉少女帯/踊るダメ人間

 

既にそういった考え方を実践している人物も少なからずいるというのも知っていた。

プロ奢ラレヤーさんとか。

プロ奢ラレヤーのあきらめ戦略ーーお金に困らず、ラクに、豊かに生きるには

phaさんの本に出会う前に彼の著書を読んだ時、楽しそうだと感じるとともに特殊事例すぎて自分には到底真似できないだろうなと、小説を読むような距離感で文章を眺めていた。

彼の体験は他人事として捉えていたのだが、同じように生きてもいいと肯定してくれるphaさんの文章を読んでハッとしたのだ。

 

 

phaさんは著書の中で「居場所」の重要性についても説いていた。

人間の行動原理の7割程度を「居場所を作るため」としたうえで、その方法は多岐にわたるとしている。

僕は、何だか周りの人間への信用が酷く低くて、絶対に壊れない壁を何重にも拵えてしまう性格で損をしてきたと思う。

群れている連中はしょうもない、なんて一匹狼を気取ってとげとげしている人間はもちろん孤立していくわけで。

辛いことがあっても一人で何とかしなければならないけれど、それは土台無理な話で、酒やら娯楽に逃避して自己防衛をしていた。

そうして根本的な課題を見つめずその場しのぎをしてきたものだから、成長は一向にせず何度も同じような辛い目に遭うこととなった。

その結果、とても死にたくなった。

きっと死ぬことこそが人間の幸せなんだろうと思うようになり、仏教なんかも齧ったが、一切皆苦なんて言われてやっぱりそうかと頷くだけだった。

だからか最近は、誰かとつながりを持つことが必要なのかもしれないと思い始めていた。

一人でいると、同じ価値観の中で堂々巡りな生き方をするしかないからだ。

phaさんの居場所の必要性を説く文章を読んで、僕の目はハッキリと覚めたのだった。

 

ただ、今まで人との関わりをできるだけ避けてきた人間はリアル世界に居場所を作ることは難しい。

だから、ネット世界で少しずつ居場所を作ろうと思う。

ここにいていいんだ、楽しく誰かと語り合ってもいいんだ、辛かったら愚痴ってもいいんだ、好きなことを思い切り語ったっていいんだ、生を謳歌していいんだ。

そんな風に感じられる居場所を作ろうと思う。

できるか分からないけれど、失敗したら次の場所へ移ればいいだけ。

どこかに自分の生きやすい場所があるはずだから、見つかるまでダラダラと探していこう。

 

願わくば、その居場所に誰かが入ってこれるようになればいいなと思う。

誰も彼もというわけにはいかないだろうけれど、多種多様な人間の心を軽くするような居場所を、必要とする人に与えられれば少しだけこの世界は良くなるのではないか。

 

僕はオチを壮大な展開にするアニメが好きなので、社会を良くするなんてことを言ってしまったが、まずは自分を助けることからゆるく始めようと思う。

僕も体力はないほうだから時間はかかるだろうけど、達成さえできればそれでいいと今は思う。